Blue Note (1847702)
Rec at Brooklyn Studios, NYC, 2013.
Personnel:
Derrick Hodge (el-b, ac-b, syn-b, el-p, key, syn, per, misc, vo, comp/arr), Keyon Harrold (tp, flh), Corey King (tb), Marcus Strickland (ss, ts), Robert Glasper (ac-p, el-p, misc, comp), Aaron Parks (ac-p, el-p), Travis Sayles (org, key, syn), James Poyser (key), Casey Benjamin (vocoder), Chris Dave (ds, per, misc, comp), Mark Colenburg (ds, snare, per), Jahi Sundance (turntables), Common (vo), Alan Hampton (vo, ac-g), American String Quartet: Martha Caplin, Sophia Kessinger (vln), Sarah Adams (vla), Mark Shuman (cello).
Terence Blanchard, Kendrick Scott Oracle, Robert Glasper Experiment等での活躍で知られるDerrick Hodgeのソロ・デビュー作。
1979年生まれということで上原ひろみとDerek Trucksと同い年。一つ上にRobert Glasper、Jakob Bro、Eric Harland、Mike Morenoといった世代。となると意外とソロ・デビューは遅いほうかもしれない。
毛色は違うけど若手ベーシストBen Williamsの『State of Art』 (Concord, 2011)がフュージョン臭いと言われながらも自分としては結構好きだったので期待して購入。
ベーシストとかドラマーのリーダー作ってなんだか期待度というかワクワクが数倍ある気がする。
最初に聴いた時は「なんだこれ全然ジャズじゃねぇ!」と思いながらさらっと一周した。だけどiPodにいれておいたらしばらくしてふと聴きたくなって聴いて、を繰り返して気付いたら結局しょっちゅうこのアルバムを聴いている。そんなアルバム。
曲はほとんどDerrick Hodgeのコンポーズで#5はCommon、#9はAlan Hampton、そして#8はもろに歌ってる感じではないがDerrick Hodge本人によるVocal入り。
まず思ったのはベースプレイにしてもラッパーの起用にしてもストリングス・アレンジにしても「やりすぎ感」がほとんどなくて綺麗に適材適所、バチッとハマっている。1曲1曲を取り出してみると結構色々なことをやっているのにアルバムにはなんだか心地よい流れがあるし、まとまりのあるサウンドになっているから不思議だ。
ターンテーブルやシンセサウンドを取り込んでジャズとヒップホップの融合!と喜ぶ人がいそうな#1からChris Dave、Robert Glasper、Derrick Hodgeという豪華メンバーによる食器遊びの#2へ繋がって、#3,#4といわゆるジャズっぽいサウンドに続いていく。続いていくのだけれど、このアルバムにはいわゆるスリリングなアドリブは無いし、パラパラと全体に散りばめられて反射していくホーンや、走りももたりもせず反復していくドラム、全体を包むようなシンセ・サウンドはジャズというよりヒップホップやエレクトロニカのように感じられた。そこに#5でCommonのボーカルが入るから綺麗にハマっている。全14曲の内ちょうど真ん中を超えた#8からはゆっくりと日が暮れたような印象で、Alan Hamptonの入った#9からストリングスをフューチャーした#10の流れは夕暮れの情景が浮かぶようなノスタルジックな綺麗さで#10は特にDerrickのソロがすごくいい味をだしている。#11,#12とふたたび前半のような曲を挟んで、と、飛ばしてもいいのだけれど#12はなんだかモンク作のようなテーマをホーン反復してその裏でバックが少しずつ変化していくって構造でやっぱりDerrickの興味はそういうサイドにあるのかなぁと。そして#13はTravis Saylesのオルガンが本当にラストをかざるような、エンドロールのような素晴らしいサウンドで、そこにDerrickの歌うようなベースが入ってきて終わる。この曲の余韻に浸っていると突っ込んでくる#14のDerrick Hodgeの多重録音によるソロは要らなかったんじゃないかな、と思う。
正直この作品は「ジャズか」と訊かれたら僕は「ジャズじゃないです」と答えると思うし、キレッキレのドラミングだとか超絶テクニックを期待して買うと失敗すること間違いなし。
僕自身ジャズとして聴いてはいないと思う。
でも間違いなく『Live Today』。Derrick Hodgeの答えはこのサウンドだったのだろう。
なにより名門Blue Noteから出てしまったし。
でも間違いなく『Live Today』。Derrick Hodgeの答えはこのサウンドだったのだろう。
なにより名門Blue Noteから出てしまったし。
ヒップホップやエレクトロニカのようなサウンドにアコースティックなサウンドを足したような、そして後半のどこか懐かしいような心地よい感触から僕が思い出したのは、mumなどが所属するドイツのエレクトロニカ系レーベルMorr Music所属のアメリカのバンドElectric Presidentのメンバー、Ben Cooperのソロ名義作Radical Face 『Ghost』 (Morr Music, 2007)だ。
日曜日の午後に聴くと最高だと思う。
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