at. DOMMUNE
出演:柳樂光隆、原雅明、沼澤尚、大谷能生
今日の #dommune では前半で大谷能生さんが僕が選んだ昨今のジャズを聴きながらあれこれ語って、後半では原雅明さんと沼澤尚さんがものすごい進化を遂げている現在のジャズのドラマーについて語ります。超ディープな予感。
▼ http://t.co/BByrFqzFK8
— 柳樂光隆Jazz:NewChapter (@Elis_ragiNa) 2014, 4月 17
こんな感じのイベントに行ってまいりました。
公式にもソングリストは載ってるんですが僕の覚えてる範囲でコメントあんど動画全部のせの重いまとめになります。
Part 1 : 柳樂光隆&大谷能生
①Tigran Hamasyan - Road Song
②Becca Stevens - Weightless - The Music Video
このあたりで大谷さんがバックの演奏・リズムに「訛り」が無いことを指摘。
例としてジャック・デジョネットの16ビートが上がっていましたが、それまでのジャズマンの叩く8ビート、16ビートはどうしても「ハネた」リズムになってしまうのに対して最近のジャズマンはそこをフラットに叩ける。とのことでした。
そして今回何度も出てきたことですが、近年のジャズマンは皆アカデミックなバックグラウンドがあるとのことでした。しっかりと音楽を学んで、それを元に演奏している。それまでは出自を語るときに地元の話から始まっていたのに最近ではみんな「どこの学校で学んだ。」とか要するに「お前どこ中だよ?」みたいな話から始まる、という話も。
③Robert Glasper - Smells Like Teen Spirit (1 Mic 1 Take)
ここでRobert Glasper登場。
この演奏に対して大谷さんからは本誌で山中千尋がグラスパー周辺を「ニュー・ゴスペル一派」と称したことも絡めて「左手をガバっと押さえちゃうあたりやっぱりゴスペル感がある。」と指摘。
また柳樂さんは「ここでのリズムはすごく白人的、グラスパーが理解されないのって『Black Radio』と言ってはいるが実際にそんなに黒い演奏(リズム的な意味で)ではないってこともあると思う。」とコメント。
④Jakob Bro - Vinterhymne (December Song, 2013)
デンマークのジャズギタリストヤコブ・ブロがここではジャズの大御所Lee KonitzとBill Frisellと共に登場。
これを取り上げたことに対して柳樂さんは「最近こういうクール・ジャズとヨーロッパ的な音響系のサウンドっていうのが見直されてきている。」とコメント。
⑤Antonio Loureiro-Luz da Terra
ミナスから出てきた天才と名高いシンガー・ソングライター(と言っていいのか)アントニオ・ロウレイロが登場。
この動画はすべての楽器を自分で演奏し多重録音したのものだがこれに関して大谷さんは「宅録系の人やっぱり増えてるよね。なんだか感覚が日本人に近い気がする。」とコメント。
また「宅録系の人がいっぱい出てくると、それまでの現場での叩き上げっていうのがあんまりなくなってくるんだよなぁ」とも。
⑥Seun Kuti - IMF ft. M1 (from Dead Prez)
アフロビートの創始者とも言われるフェラ・クティを父に持ち、その意志をついだとも言われるナイジェリア出身のミュージシャン、シェウン・クティの最新作から。
作品にはRobert Glasperも参加しておりアフロビートとジャズの接近が見られる。とのこと。
大谷さんは「これをジャズって言っちゃうと何でもありみたいになっちゃうよね。」とコメントしてワールドジャズの話に。
ここでは「多国籍バンドのウェザーリポートをなんで"ジャズ"って呼んだのか?」という問題提起も。
以上で前半が終了。
以下は放送予定だったけど流れなかった音源です。
Kendrick Lamar - Rigamortis (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=sBvngg87998
Kris Bowers - Rigamortis (Kendrick Lamar Cover)
https://www.youtube.com/watch?v=_Mx5rZFAm0g
Taylor McFerrin and Austin Peralta Live 03.03.11
http://vimeo.com/20694766
The Jon Brion Show - Feat. Elliott Smith / Brad Mehldau ('00)
https://www.youtube.com/watch?v=PK4okHerWeI
Colin Stetson - "Among The Sef" & "In Mirrors" | A Take Away Show
https://www.youtube.com/watch?v=Ra-EsJpkG9o
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Part 2 : 原雅明&沼澤尚 (後半の曲順はうろ覚えです.....)
①Chris Dave and The Drumhedz at Guitar Center's Drum-Off Finals
後半はTHEATRE BROOKでも知られる沼澤さんを迎えてのドラム談義。
まず上がったのが長年Robert Glasperと共演しており、ミックステープなども公開しているChris Dave。
沼澤さんは彼の凄さについて「これまでの超絶技巧のドラマーっていうのはそれを象徴するような、あるいはそれに伴った楽曲であるとか機材であるとかそういうものを伴って出てきた。彼のすごいところは超絶技巧を前提としてHip-Hopの文脈を完全に人力で再現するという目標をもってやっているところ。ここまで完璧に取り込めた人はいない。」とコメント。
「ターンテーブルが二台あって、こっちにサンプラーがあって、リズムがよれて『ほらここから次のレコードに変わりましたよ』、『次のサンプラーになりましたよ』みたいなことが完全にわかっててそれを音色も含めて再現している。」とのこと。
またここでもアカデミックな教育を受けた上に成り立っている技術であるという話がでました。
沼澤さんいわく「アメリカで音楽を学ぶとどんな楽器であれリズムであれ必ずジャズを前提とした教育を受ける。」とのことでした。
ここからChris Daveの動画が続きます。
②Meshell Ndegeocello & Chris Daddy Dave cover Butterfly (Pt 2)
ベーシストでありながらボーカルも務めるミシェル・ンデゲオチェロとのほぼセッションによる演奏。
楽曲はHerbie HancockのButterflyです。
ここで柳樂さんが「実は僕の本の裏テーマはンデゲオチェロ再評価だったんだよね。」と告白。
彼女のバンドはアルバムごとにテイストを変えてくるところがすごいとのこと。またJoshua Redmanなどのジャズメンとの共演も多い。
Chris Daveとの共演はアルバム『Confort Women』で聴けます。
③Kenny Garrett Quartet - Chiris Dave
マイルスバンドにも在籍したサックス奏者ケニー・ギャレットのバンドでの演奏。
Chris Daveがかなり若い時の映像です。沼澤さんは「やっぱりマイルスバンドにいた人ってそれぞれがレジェンドクラスになっている。」とコメント。
ここで話はマイルスバンドに在籍していたレジェンドドラマーTony Williamsへ。
④Miles Davis - Bitches Brew (Tanglewood live 1970)
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⑤Miles Davis - Herbie Hancock - Wayne Shorter - Ron Carter - Tony Williams Stockholm 1963
グラスパーはChris Daveを「Tony Williams Now」と評価しているが、確かにトニーがいなかったらクリス・デイブは出てこなかっただろうとのこと。
⑥Herbie Hancock Headhunters 1974
ジャズの発展形としてもHip-Hopのネタにも引用されているHerbie HancockのHead Huntersでの演奏。
このあたりがいわゆる"ジャズ"のリズムからの進化の過程ではないか。
⑦Questlove and D'Angelo SuperJam | Ep.1: Origins |
次に取り上げられたのがThe Rootsのドラマーでもあるクエストラブ。
この動画はディアンジェロとの共演。
沼澤さんはThe Rootsの1stが出た直後の来日公演を見たとの事でしたが、「ドラムの初心者が叩いた、みたいなドラムを叩くところがあるんですけどそこの違和感の無さに驚いた。普通うまい人が下手くそっぽく叩いても違和感が出ちゃうんですけど彼にはそれがまったく無かったんですよ。」とコメント。
テクニックの器用さという面でものすごいドラマーであると評価していました。
またクエストラブはグラスパーと同じ高校の同期(たしか)みたいな話も。
以下は流れたかどうか覚えてないんですがクエストラブの演奏です。
Wawa Welcome America July 4th 2012
http://youtu.be/evNJesW1uR4
Steve Ferrone feat. Questlove "Pick Up The Pieces
http://youtu.be/XnaHQpnUkzo
⑧Mehliana (Brad Mehldau & Mark Guiliana) - Hungry
次に取り上げられたのがマーク・ジュリアナ。
この動画は現代ジャズピアノの大御所Brad Mehldauとのユニットです。
ジュリアナに関してはヒップ・ホップとかよりももっとベースミュージックであるとかクラブミュージックの影響が大きいとのこと。
彼のは間違いなく世界中のドラマーが今一番見たいドラマーだろう、という話もありました。
また彼の他の参加作ではAvishai Cohen Trioでの演奏、Gretchen Parlatoとの演奏が面白いとのこと。
⑨Mark Guiliana's Beat Music: Spirit Animal
次はジュリアナ主導のプロジェクト、Beat Music。
ここでの演奏は完全にミニマルも含めたビートミュージック。
⑩Brian Blade - Joshua Redman - Brad Mehldau - Christian McBride: The Deserving Many - Klaviersommer - Munchen - Germany - 1994
続いては先日Wayne Shorterのバンドでも来日したブライアン・ブレイド。
彼はここまでのメンバーに比べると断然ジャズ寄りだが、彼のバンド「フェローシップ」にはTortoiseのギタリストジェフ・パーカーが参加していたなどシカゴ音響派とのつながりもある。
⑪Ray Brown Trio - Squatty Roo
最後に取り上げられたのはオスカー・ピータソントリオでも活躍し、ヒップ・ホップのプロデューサーもこなし、自分のアルバムはヒップ・ホップの名門ストーンズスロウから出したという強者、カリーム・リギンス。
まずはものすごくオーソドックスな4ビートの演奏から。
注:ここからは公式の動画リストになかったので流れたのがほんとにこれかわかりません!順番も含めてかなり怪しいです。
⑫Karriem Riggins - J. Dilla the greatest
⑬Madlib & Karriem Riggins @ Opera House: Bounce tour, Toronto
カリーム・リギンスによるトラックメイカーJ DillaのカバーとMadlibとのセッション。
J Dillaはグラスパー世代にすごく影響を与えた人物として語られています。Madlibもトラックメーカーながらブルーノートからのサンプリングだけでアルバムをだしたりとジャズとの近接を見せる人物。
この2つの動画ではいかにカリーム・リギンスがヒップ・ホップをわかってるか、ということがかなり顕著になりました。とくに二本目の動画。
また、「カリームリギンスはジャズのビートもヒップ・ホップのビートも本当に同様に愛しており叩いている。」という話も。
以上で終わりだったと思います!
抜けてるところ・話などあったらコメント欄にて私も補正していくし、指摘してください!
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