たぶんSonny Rollinsの『サキコロ』とかClifford Brownの『Study in Brown』とかそういう物を求められていたんだろうけど、いざ「あなたのおすすめは?」と訊かれるとなんだろう全く浮かばなかった。
結局その時僕は最近Jeff Parkerにハマっていたから『Chicago Underground Quartet』という非常にふわっとした回答をしたんだけど、後から思い返したらジャズを聴き始めた頃のことも含めて色々浮かんできたので今回はそれを消化していきます。
ジャズ入門の記事というよりも僕がジャズを聴き始めたころに何を聴いてたかって記事だと思ってくれれば幸いです。
Albert Ayler / Spiritual Unity バンドキッズだった高校生の僕をフリージャズの世界に引っ張り込んだのは阿部薫とAlbert Ayler。これはずっと揺らがない。なかでもこれは一番聴いていた。感情をそのまま吐き出したみたいなサックスに衝撃を受けた。アイラーはスタンダードを自由奔放に演奏する『My Name is~』もよく聴いた。
今にしてみるとこの時代のフリージャズの音って黒人解放運動という時代の音なんだと思う。
Eric Dolphy / Out to Lunch
この盤はアイラーを聴いたもうちょっと後、ONJQ『Live!』を聴いてからそこを掘り下げて出会った盤。
ドルフィーは即興演奏家としても作曲家としても超一級だと思う。それはOrnette ColemanもThelonious Monkも一緒。
この三者みたいなフリーフォームといわゆる曲を演奏するジャズの中間みたいな存在に僕は惹かれ続けている。
Wayne Shorter / footprints live!その三者のようなスタイルを現在進行形で突き進めているのがショーターだと僕は思う。
中でも後期のこのカルテットでの演奏が本当に素晴らしい。Brian Bladeはお気に入りのドラマーの一人。
思わず声が上がるような即興演奏って本当に稀で、こういうところをスピリチュアルにしか表現できないのは本能的なものだからなんじゃないかとすら思う。
Bill Frisell / Bill Frisell, Ron Carter, Paul MotianBill Frisellというギタリストを最初に聴いたのは多分この盤だったと思う。よく空間を浮遊しているとか表現される彼だけどすごくブルージーでもあるし破壊的でもあって本性がまったく掴めない、そんなところが僕が彼を大好きな理由だと思う。あと僕がこれを聴いて一番見方が変わったのはベースのRon Carter。この盤でのプレイは彼のキャリアの中でも最高に近いと思う。
Paul Motian / Monk in MotianBill Frisellをはじめ沢山のギタリストを排出してきたのがBill Evans Trioのメンバーでもあったドラマー、Paul Motianのバンド。
これはその彼のバンドでThelonious Monkの曲を演奏するという企画で、僕の中では「一番正しいThelonious Monkの解釈」。
サックス、ギター、ドラムという変則的なトリオ(この盤にはピアノも数曲参加)で作り出される空間はとても美しくて、怪奇。
Paul Bley / Paul Bley NHØPKeith JarrettよりもBill EvansよりもハマったピアニストがPaul Bley。この盤はベースの名手Niels-Henning Orsted Pedersenとのデュオ作。
このデュオの為に書かれたと思われる曲とCarla Bley曲他による演奏は僕の知っているPaul Bleyの演奏の中でも特別美しく感じる。
Paul Bleyは他にもう少し内省的なソロ作品、『Open to Love』もおすすめ。
ここまでの六枚でとりあえず一旦休憩。
ジャズ入門とは程遠い記事になってしまったけれど「こういう入り方もあるんだよ」っていう一例としてみれくれれば幸いです。



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