2014/09/04

Things We Did This Summer

Joy in Spite of..

更新を怠っている間に夏が終わったのだ。
夏の間に聴きそびれていた新譜をざーっと回収したのでそこから幾つか紹介しようと思う。


頭ひとつ出て良かったのはトップ画像のStefano Bollani / Joy In Spite Of Everything
自身のトリオにプラスしてBill Frisell(Gt)、Mark Turner(Ts)が参加したイタリアのピアニストStefano Bollaniの新譜は今回もECMから。
彼の西洋音楽的でメジャー寄りの多幸感のあるオリジナルにBill Frisellがとても良く馴染んでいる。
Bill Frisellは来月新譜が出るのでそちらも期待。


意外な方向に走りだしたのはEric Harland / Vipassana
前作『Voyager』のメンバー、Taylor Eigsti (pf), Walter Smith III (sax), Julian Lage (gt), Harish Raghavan (bs)に加えて、Nir Felder (gt), Christopher Turner (vo)の加わった編成。
ギターが二人いるけどツインギターと言うよりは曲ごとに使い分ける感じになってます。
前作が強力なライブ盤だったのに対して今回はエフェクトも多用してのヒップ・ホップ寄り、というよりはビートミュージックよりの作品。
とは言っても即興がしっかりあるし、サックスが入ると一気にジャズっぽくなるのが不思議。
Robert Glasperも初期のころやってたHerbie Hancockの"Maiden Voyage"も演っている。
こっち側に来たかったんなら早く言えばいいのに!って感じです。
ちなみにタイトルの「Vipassana」とは上座仏教の瞑想法の一つだそうで。


超絶技巧でいい感じだったのはEnrico Pieranunzi / Stories
Antonio Sanchez (ds), Scott Colley (bs)とのトリオでの新譜は誤魔化し無しの真剣勝負かつまさに「神々の遊び」って感じでした。
叙情系のしっとりしたピアノから凶暴なプレイまでの振り幅がEnrico Pieranunziの魅力だと思うんだけどそれがはっきりでてるし、バックのメンバーもしっかりそれに着いて行っているのがとても良い。
ピアノ・トリオ作品だったら今年のベストに入ると思います。


ドラマーのリーダー作で好対照だったのはJimmy Cobb / The Original MobStanton Moore / Conversations
今年85歳になるJimmy Cobbの方はPeter Bernstein (gt), Brad Mehldau (pf), John Webber (bs)とのカルテット作でスタンダードも交えたストレート・アヘッドな作品。
Brad Mehldauは正直全編にわたって控えめで「これは!」というような場面は少なくてむしろPeter Bernsteinの方がそういう場面が多いように感じます。この二人、最近はあんまり一緒にやってないのかと思ってたけどどうなんでしょうね。

一方のStanton Mooreはなんとトラディショナルなピアノ・トリオ編成によるストレート・アヘッドなジャズ作品。
James Singleton (bs), David Torkanowski (pf)による編成でベーシストは割とジャズ寄り(ジョンスコ、ジョーヘンあたりともやってるらしい)、ピアニストはニューオーリンズのジャズバンド系の人なのかな?調べてもあんまり詳しく出てきませんでした。Stanton Moore自体は僕自身はGalacticでのイメージが強いです。 まぁ超絶セッションドラマーみたいな認識で間違いは無いんじゃないでしょうか。

で、僕がこの2つを好対照って書いたのはこの2つの作品はどっちもリーダーがドラムだけあってドラムのオラオラ感がすごいんですが、Jimmy Cobbはこの歳になってもかなり元気でスウィングしてるんですね。『Kind Of Blue』で叩いてた人とは思えないくらい。やっぱり4ビートに関してはすごいところがあるなぁと。
一方でStanton Mooreは4ビートがメインのドラマーではないのでやっぱりリズム感がちょっとジャズドラマーとは違う、スクエアな感じがするんです。
だからこの2つを聴き比べると「スウィングとは?」みたいなものの好例になるかと。
(これはちょっとto swing or notで取り上げようかとも思いましたがうまく言葉に出来なかったので 雑記になってしまった。)


Stories [輸入盤] Original Mob Conversations

なんか書き出したら結構長くなってしまったのだけどこんなところで。
以下最近聴いた新譜&旧譜リストです。

―新譜―
BABYMETAL / BABYMETAL
Eric Reed / The Adventurous Monk
Harvey Mason / Chameleon
KEYTALK / OVERTONE
Linkin Park / The Hunting Party
Lyu:Lyu / GLORIA QUALIA
Nils Petter Molvaer / SWITCH
Nothing's Carved In Stone / Strangers In Heaven
Snarky Puppy / We Like It Here
Steve Cardenas / Melody In A Dream
Teebs / E S T A R A


―旧譜―
Cecile McLorin Salvant / Cecile (2010)
Cecile McLorin Salvant / WomenChild (2013)
Chick Corea, Stanley Clarke & Lenny White / Forever (2011)
Ulysses Owens Jr. / Unanimous (2012)
Mary Halvorson Septet / Illusionary Sea (2013)
Jonathan Kreisberg / Night Songs (2009)
Carla Bley / Trios (2013)
スガダイロー / スガダイローの肖像 (2008)
Becca Stevens / Weightless (2011)
Everything Everything / Arc (2013)
Franz Ferdinand / Right Thoughts, Right Words, Right Action (2013)


とか

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