なんだかんだ全然更新してなかったこの企画。
今回は今年のいわゆるリアルジャズの新譜の振り返り企画です。
まずはTOP画像のAli Jackson『Amalgamations』。
まずは一曲目からAaron Goldberg(pf)、Omer Avital(b)というAaron Goldbergの2012年作『Yes!』と同じトリオ編成からスタート。
さすがの息のあったスウィング感の上でOscar PetersonのようなバップイディオムでソロをとるGoldbergがとってもいい感じです。
大御所Wynton Marsalisが吹く"Cherokee"、JD Allenが吹くJoe Henderson曲の"Inner Urge"などスタンダードも多く、中でもマルサリスはいい感じ。
メンバーがコロコロ変わるのでAli JacksonのリーダーアルバムというよりAli Jacksonの参加曲をあつめたコンピレーションみたいな感じでやたらドラムをフィーチャーした感じがないのは好印象です。
続いてはトランペットのAvishai Cohen's Triveni『Dark Nights』。
Omer Avital(b)、Nasheet Waits(ds)とのトリオ"Triveni"としては多分三作目。ゲストにはAnat Cohen(Cl)、Gerald Clayton、Keren Ann(Vo)が参加しています。
こちらもミンガスの"Goodbye Pook Pie Hat"をはじめとして"Shiny Stockings"、"Lush Life"、"I Fall in Love too Easily"などスタンダード多し。
一曲目からNasheet Waitsのはっとするようなドラミングとエフェクティブなトランペットのオーバーダブでこのバンドの世界感がはっきりと示されています。
「このメンバーにGerald Clayton?」とも思ったんですがアビシャイのエフェクティブなトランペットとキーボードが絡んでかなり心地よいサウンドを見せたかと思えば、次の曲ではしっとりとKeren Annの後ろでしっとりとピアノを弾いていてかなりマッチしているように思いました。
Avishai Cohenは今年Mark Turner『Lathe of Heaven』 でのECMサウンドにマッチしたプレイも見せていただけに今後かなり音楽性の幅が広がっていくんじゃないかなと思います。
つぎがJoshua Redman『Trios Live』。
今年の発売だけど録音は2009年なのでもう5年も前の音源なんですね。時系列的にはJames Farmとかよりも前。メンバーはMatt Penman(B)、Reuben Rogers(B)、Gregory Hutchinson(Ds)という構成でベースが違う2つのライブの音源を合わせたものになっています。
"Mack the Knife"から始まるこのアルバムは久しぶりにJoshua Redmanが燃えていて、というのもバックのGregが大暴れしているんですね。最近のいわゆるストレートアヘッドなジャズドラマーではGregory Hutchinsonが一番好みです。
オリジナルの"Soul Dance"や"Mantra #5"もトリオならではのニュアンスで聴けて面白いです。Mantra #5はMike Morenoも自分のバンドで取り上げていたような。
テナーサックスとソプラノサックスを持ち替えながら爆発するJoshua(と歓声)を聴きたいなら最近では一番だと思います。
ことしの4ビート系では他にもEric Reedのモンク集とかもいい感じだったんですが今回はこの三枚です。
どれもスタンダード多く爽快な4ビートが聴けるアルバムとなっております。
いつもtwitterやブログ、楽しく拝読させていただいてます。
返信削除というか新しいジャズの情報は、ひかるるるさん(という呼び方でいいでしょうか?)からしか取り入れていないような当方でございます。
ベテランたちのネオ・バップ……をはるか昔に通り越して、「自分たちがいいと思う音楽を素直にやる」というのは、いいですね(このブログの10月のウィーザーのところで書かれているように)
Avishai Cohenのアルバムの音像紹介は、まるでその盤を聞いてるかのように、簡潔かつ納得性のある文章だと思いました。あやかりたいものです。
レッドマンの音源リリースの遅れはどういうことなんでしょうね?
ノンサッチから出た前作の「ウォーキング・シャドウ」が2012年のスタジオ録音だから、リリース契約的に2013年のブルース・アレイでのtr2~4を出すのが順当……とはいえ尺が足りないから2009年のをプラスした……というのでもないでしょう?
もっともその前にノンサッチから出た「ムードスウィング」は90年代の録音ですから……うむむよくわからない
http://www.nonesuch.com/artists/joshua-redman
熱かったですか、レッドマン。
やっぱりスポンティニアスに熱いライヴ盤を出してナンボですね。
モンク集といえば、村上春樹が「セロニアス・モンクのいた風景」という、
モンクに関する音楽関係者の文章を翻訳したものを集めて、なおかつ村上春樹自身の「モンク愛」が詰められた文章二編がプラスされている本(編著)が出ましたね。
ついつい「ブリリアント・コーナーズ」とか「セロニアス・ヒムセルフ」などをレコード棚から取り出してしまって時間が過ぎてしまいますが(笑)、しかしモンクの個性……モンクがどれだけ「音楽的に正しかったか」ということを教えてくれる本でした。