2014/02/03

Marialy Pacheco / Spaces Within






















Pinnacles Music (PM 0212)
Rec. at Gasworks Studio Newstead, Brisvane, February 2012

Personnel:
Marialy Pacheco (pf)
Pat Marchisella (bs)
Joe Marchisella (ds)

先日の"New Arrivals" ユニバーサルジャズ×ディスクユニオン合同主宰 新譜リスニング・セッション@四ツ谷いーぐる(→別ページあり)で購入したキューバ出身の女性ピアニストのトリオ2013年作。
キューバ出身で大学もキューバだけど今はオーストラリア在住で、オフィシャルホームページにはTommy Emmanuelからの紹介文が載ってるっていう奔放具合。(NYの若手ミュージシャンのHPみたいに勝手に音楽が流れはじめないのは好印象です。)
2012年のモントルージャズフェス・ソロピアノコンペでは歴代初の女性優勝とか。
日本のT-TOC Recordsからも岩瀬立飛(ds)と川村竜(bs)でのトリオ作が出てるらしいです。

キューバ出身で南米ラテンなリズム、ってことは全然なくてずっとコンテンポラリー。NYっぽいしヨーロッパっぽいです。
全曲オリジナル。そのクオリティが高いってよく書かれてるんだけど僕としてはソロも相当面白い。
魅力をわかりやすく伝えるなら「ドラマチックでテクニカルなピアノ」とかでもいいんですけど「一曲目から『うおおおお!』ってなるピアノ。」って感じ。


オープナーの#1"Low Tides"で既に彼女のピアノがはっきり現れていて、それはE.S.T.の水面の様な透明感のある静寂であるしHerbie HancockやChick Coreaのような高速のテクニックであるし、Enrico Pieranunziのような不穏な空気であるしって色んなピアニストの要素が盛りだくさん。
「なんかピアノトリオ聴きたいな」って時にはしばらくこれ聴きます全部入ってるから。

楽曲はいわゆるコンテンポラリーなんだけど聴いてるとあんまりそうは感じないですね。
短いフレーズをループするベースの上で鳴ってるピアノのソロがとても気持ちよくはじけている。
テクニカルなんだけどフュージョン臭くはならなくていかにも最近のジャズ・ピアノって感じです。

#1につづく#2-#4は"Songs in E minor"のno.1-no.3。
透明感のある#1からガラッと不穏な空気があふれる#2"no.1"でのドラムの16ビートのキレが個人的にはすごくツボ。
テーマのキメを保ったままループするなかでだんだん崩壊しながら突き進む"no.1"、"no.3"のソロも圧巻だしその間に挟まれた"no.2"はしっとりとした空気の中でのベースソロが最高。
その後も#5で予感させた多幸感が発散される#6や、クラシックの様なイントロが印象的な#7、最後にふさわしいスケール感をもちながらもじっとりした#8とすごく沢山の面を見せてくれてアルバム通して全然飽きのこない48分です。

E.S.T.やBrad Mehldauと並べて語られることの多い彼女だけど「なんで今まで出てこなかったんだ!」ってくらい良いです。
売れない理由としてはエスニシティをそんなに押し出してないからかなぁと。最近そういう人のほうが売れますしね、イスラエル勢とか。
ただぼくはこないだ出たShai Maestroのトリオ作よりこっちを聴きます。

mouse on the keysにハマった人がジャズに流れるならこれを聴いて欲しい。

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