P-VINE RECORDS (PCD-24373)
インディー・フォークの若手として高い評価をえたセルフタイトルの1st Album『森は生きている』から一年、東京のバンド森は生きているの2ndアルバム。
サムイム・マルシャークの同名の著作からバンド名がとられたのどうかはわからないけれど、冬のはじめに届いたこのアルバムはそれ以来ずっとヘビーローテションです。
1stアルバムを聴いた時はVampire Weekendのようでもありトクマルシューゴのようでもある心地良いフォーク・ミュージックとしてこのバンドを聴いていたけれどそれはこのバンドの一側面でしかなかったみたい。
フォーキーなアルペジオからはじまる一曲目こそ1stから予想されるような森は生きているの2ndアルバムだったが、二曲目「影の問答」からは一変、Lo-Hiなエレキギターを筆頭にどんどん新しい音像が溢れ出してくる。
隙間を埋めるような電子音や巧みに施されたドラムエフェクト、メロディの裏に潜められたノイズ等沢山の素材が複雑に絡まっていく中でも一貫されたクリアな生楽器に曇ったエコーに包まれたボーカルという音像がアルバムに統一感を与えている。聴く度に新しい音に気づけるほどの素材を持ちながらも決して情報過多にならないのは楽曲のセンスだけでなく自身で手がけたというミキシングの凄みも感じる。
根本にあるのはフォーク・ミュージックであるということは何となく分かるんだけど、生まれた音楽はとても沢山の音楽からの影響・引用を感じるサイケデリアであって、その点ではJim O'Rourke『Eureka』の世界感にとても近いし、新作にBill Frisellを起用したSam Amidonにも通じるところがあるかも知れない。いずれにしても今の日本のロック・ポップシーンには~っぽいで説明できるバンドがあまり思いつかない。
サイケデリックな場面を見せながらもアツくなりすぎず冷静という独特のクレバーな熱量が1stに続いてモノクロ写真のジャケットととてもマッチしている。
これだけの情報量を持ちながらもポップの印象を与えられるこのアルバムが出てしまったらこれは次作も期待するしか無いです。参りました。
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